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「透析食は難しくって 何を食べたらいいのかわからない ???(@_@;)???」
「透析患者の私が 普段食べている食事はホントにコレでいいの?」
「はぁ~ 味噌汁を食べたいけど水分と塩分が心配だなぁ」
大多数の透析者、それを支える家族が困っていることと思われます
実際に、それを言葉にした方もいることでしょう
慢性腎不全で人工透析となってしまった方は、それまであたりまえのように食べられた(飲めた)食事に制限がついてきます
それは、体内でできた老廃物を排泄する機能や、水分や塩分等の調整機能が低下するためです
『腎臓が排泄できる能力に応じた食事』を摂る必要があるからです
※兵庫医科大学内科学腎・透析科主任教授 中西 健 先生
そうはいっても、食事は毎日・毎食摂取するものですから、実際に『腎臓が排泄できる能力に応じた食事』ってどんなふうにすればいいの?と思われるはずです。
ここでは、「透析者にとって 食事とは?」というテーマで、皆さまに、食事療法についてわかりやすく解説していきます
なぜ? 食事療法をしなければならないの?
食事療法の目的(2つの理由)
長期:合併症の予防と健康長寿の達成
短期:日々の自己管理の安定と自信に満ちた生活
食事療法を行う目的は、2つあると考えられます
1つは、一生透析治療を行う必要があるので、長期透析者におこる合併症を防ぎ、
できるだけ健康長寿を延ばすことにあると思います。
2つめは、日々の運動・食事・休養をしながら、血液検査データの安定による、
急性合併症の予防や、慢性合併症を発症させないということです。
透析者の死亡原因は1位が心不全、2位が感染症です
心不全は最近増加傾向にあるといわれ、感染症による死亡は1993年頃から一貫して
増加している状況です(※日本透析医学会 2012年 わが国の慢性透析療法の現況)
《透析者がなりやすい心不全の原因として》
①摂取した水分・塩分がそのまま体重増加に繋がり心臓への負担を増す
②透析間体重増加が多く、過剰な水分が常に体内あることで心臓への負担を増す
③高血圧が長期に持続すると、心臓肥大を生じ心臓への負担が増す
④リンやカルシウムの管理が悪く、心筋の働きを障害したり、心臓弁の石灰化を生じて
心不全を起こしやすくなる
⑤貧血は心臓の働きを障害し、心不全を起こしやすくする
⑥不十分な透析の場合、尿毒症性の心筋障害を生じる危険性がある
⑦動脈硬化が進行しやすく狭心症や心筋梗塞等からくる
虚血性心臓病は心不全の大きな危険因子となる
=《予防》=
適切な体重管理や血圧管理、食事での塩分やリンのコントロール等、「自己管理」をしっかり行なう必要があります。特に体重が最も多くなる中2日の週末から週明けにかけてが最も心不全を生じやすいので、週末は体重を極力増やさないことが大事です。
さらに日常的に医療側からも十分な透析効率を確保してもらうことで、心不全の危険をかなり軽減することができます。
《一方、透析者がなりやすい感染症の原因として》
①過度の食事制限や透析膜からの栄養素漏出による栄養不良状態
②細菌等に対する白血球機能の低下(考えられる原因:リン・カルシウム・鉄の代謝異常)
③尿の停滞(尿量減少、無尿)による尿路感染症
④皮膚乾燥症やかゆみ、血行障害等による皮膚感染症
⑤肺炎等の気道感染症
⑥腸内細菌叢の変化による消化管感染症
⑦内シャントや腹膜透析用カテーテル出口部等の感染症
=《予防》=
食事指導に準じ栄養バランスのとれた食事を摂取し免疫力を維持しましょう。
塩分・カリウム・蛋白質等制限が必要な栄養素は多いですが、制限範囲内で十分な栄養素を摂取するよう心がけましょう。また、過度な食事制限は栄養不良を起こす引き金となるので、食事について不明な点があれば栄養士・医師に確認して下さい。
身体の清潔に努め、外出後のうがい・手洗いを確実に行い、気道からの細菌混入に気をつけましょう。人ごみではマスクの着用をお勧めします。
十分な透析治療を受けましょう。透析不足による尿毒素の蓄積は、白血球機能低下を引き起こします。(頻回・長時間・高血流透析等)
身体の傷・咳・発熱・尿の混濁等体調に変化を自覚したら、早めに主治医の先生に相談しましょう。早期発見・早期治療は感染症治療に重要です。
色々書きましたが、つまり心不全や感染症等の合併症を予防する為には
1.「制限内でしっかり食事摂取」し
2.「十分な透析治療」を受け
3.「生活習慣病を予防」し
4.「身体の清潔」に努める
ことが必要です。
食事療法の目的を意識し、できることから始めましよう。
私は、数多くの食事療法の必要な患者の栄養食事指導を行ってきましたが、食事療法を 上手く生活に取り入れ実施されている方は、どの方も自信に満ちた表情をしています。
皆様の自信に満ちた表情に、いつかお目にかかれることを期待し楽しみにしています。
食事療法の目的を意識し、できることから始めましよう。
私は、数多くの食事療法の必要な患者の栄養食事指導を行ってきましたが、食事療法を 上手く生活に取り入れ実施されている方は、どの方も自信に満ちた表情をしています。
皆様の自信に満ちた表情に、いつかお目にかかれることを期待し楽しみにしています。
* 少しの知恵で 好きなものを食べる
* 栄養素の質を考える
・毎食「主食+主菜+副菜」をそろえる
・白(ご飯(白)茶(肉、魚)黄(芋)赤(実野菜)緑(野菜)黒(海藻)色で覚える栄養バランス
* 量の物差しを活用する
・主食はしっかり
・主菜は1食手のひらサイズまで
・副菜は1日5皿を目標に
* 減塩までの味付けステップ
・「少し味が薄いかなぁ」くらいをちょうど良しとする
・風味、香味、うま味を惜しげもなく使用する
管理栄養士 野嵩 正恒